◆治療コラム◆ 根管治療について【歯の根の消毒~充填まで】2024.07.11


今回の治療コラムは根管治療についてお話したいと思います。

 

歯の根っこの治療を根管治療(こんかんちりょう)と言います。

今回はこの根管治療、根の消毒~充填までをご説明していきたいと思います。

 

むし歯により歯の神経を取ることを抜髄(ばつずい)といい、抜髄をしたあとは歯の根の中(根管)の消毒を行います。

この消毒は通常で2~3回必要です。歯の根に膿が溜まっている場合も同様に根管内の消毒をしますが、膿を取り除くのに通常より回数がかかる場合があります。

また根の先はコンマ何㎜単位のシビアな治療です。根が枝分かれしていたり、湾曲していたりする場合は、器具が到達しづらく、より難しい治療となります。
当院にはマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)もございますので、場合により活用しています。
通常、根管治療をした歯には最終的にかぶせ物をするのが望ましいです。
根に神経のある歯は、痛みを感じたり、栄養を与える役割を持っています。根管治療を行った歯はよく枯れ木に例えられることが多いです。つまり神経をとってしまうと、栄養分の行き届かない枯れ木と一緒なのです。
栄養分が不足している歯は脆くなり、硬いものを噛んだ時などに歯が割れてしまう恐れもあります。

以前にも根管治療をしている歯で、再度治療していく場合、歯の状態によっては治療自体が困難なこともあります。
また、神経を取ることで痛みからは解放されますが、異常を感じることができなくなるため、上物を被せた歯などは歯の内部でむし歯が進行していても自覚症状に現れません。そのため、気がついた時には被せ物の中でむし歯が広がってしまうのです。

治療には回数がかかりますが、痛みがなくなったからといって途中でやめてはいけません。根管治療中は多くの場合、お帰りの際に仮封(かふう)といって仮の蓋で覆います。その蓋は取れやすく密閉度も低いため、何週間ももつことを想定していません。あくまで次の治療までの蓋になります。その仮封の状態で治療を放置してしまうともちろん状態は悪化してしまいます。何ヶ月も、何年も放置してしまったために残念ながら抜歯に…というケースも少なくありません。そんな最悪なケースに至らないよう、根管治療をはじめたら被せ物が入るまでしっかり治療に通われてるようにしてください。

もちろんできるだけ回数が少なくなるよう、こちらもできる限りの治療をさせていただきますが、患者さんご自身の協力は欠かせないのです。一緒に根気強くがんばりましょう。

 

 

◇◆◇根管治療(こんかんちりょう)の全体の流れ◇◆◇

① 必要に応じて麻酔をしたり、局所的なレントゲンを撮ります。
② かぶせ物をしている場合は取り除く、もしくはかぶせ物の上から穴を開けて根管への道筋をつくります。
※このときむし歯も除去します。むし歯になっている箇所でも根管治療中に必要な部分であるときはあえて残しておく場合もありますが、かぶせる前には取り除くのでご安心ください。
③ ドリルや手用の器具を用いて歯髄(しずい)の除去をします。歯髄とは歯の神経のことです。
④ 根管長測定器(ピーピーと音のなる機器)を用いて歯の根っこの長さを測定します。
⑤ 薬液による洗浄を行います。
⑥ 必要に応じて根管内にお薬をいれて仮の蓋をします。
※仮の蓋がはいっている部分で粘着質なものをかむと、仮蓋にくっついてとれやすいです。ガムやチューイングキャンディーなどは仮の蓋の部分は避けるようにしてください。
【↑ここまでを何回か繰り返すことを一般的に根っこの消毒といいます。】
通常2~3回程度かかり、1~2週間に1回の頻度での治療が望ましいです。

【↓この先は根っこの消毒を充分に行ったあとの処置です。通常は1回で済みます。】
⑦ 充分に消毒をしてきれいになった根管内にゴムのような材料(お薬のようなもの)を隙間ないよう緊密に詰め込み充填します。
⑧ 先端まで緊密に詰め込んであることの確認で局所的なレントゲン写真を撮り、根管治療は終了します。

~その後はかぶせ物のの土台をつくる治療へ続きます~

こちらはまた別の治療コラム【かぶせ物がお口に入るまで・かぶせ物の違い】でご説明いたします。

 

———————— メリット ————————

丁寧に消毒を繰り返し、適切な処置を行うことでご自身の歯を残すことができ、

なるべく長く使えるようになります。

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———————- デメリット ———————–

治療に回数がかかります。

神経があったときよりも強度が落ちて、歯が脆くなります。

神経がないので歯の方は痛みがでません。気づかないうちに内部でむし歯が進行します。

根の治療は途中で中断すると、中に残っている細菌が再び増殖していつまで経っても治療が終わりません。さらに放置し続けると抜歯に至る状態まで悪くなることもあります。

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一見デメリットのほうが多く感じますが、患者さん自身にも治療に向き合っていただくことで、

ご自身の歯を残せるという点ではとても重要なことなのです。

幡ヶ谷駅前歯科

 

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