一雨毎に暖かさが増し、桜の花が待ち遠しく感じられる気候になってきましたが、
今年は世界中で新型ウィルスが猛威を奮っており、お花見などとは言っていられない状態ですね。
世界各国で今この瞬間も様々な対策がなされているでしょうし、一刻も早い収束が望まれますが、皆様ご自身ではどのような対策をされていますか?
この機会に当院での院内感染対策の考え方と、滅菌、消毒、清潔な環境づくりについて皆様と共有できたらと思います。
院内環境についての詳しいご説明は以下のリンクからご覧いただけます。
昨今の新型コロナウィルスに限ったことではなく、世の中には様々な感染症があり、
罹患していることにすら気づかず普段の生活を送っている方も多いです。その中には感染力の高いものも低いものも有り、罹患しても回復が容易なものも、回復が望めないものも有ります。
従って当院では、感染症の有無に関わらず、全ての処置において出来る限りの感染予防策を行うこととしています。
感染症対策については非常に多岐に及びますし、マニアックな部分も有りますので、
できるだけ専門的にならないように、当院の感染症対策についてご説明させて頂きます。
突然ですがスタンダードプリコーションという言葉をご存知ですか?
耳慣れない言葉だと思いますが、ざっくりと説明をさせていただくと、
患者さんの血液、唾液、分泌物(※当院においては汗も含む)、傷のある皮膚や粘膜を感染の可能性のある物質とみなし対応することで,患者さんと医療従事者の両方ににおいて院内感染の危険性を減少させることで、感染症の有無に関わらず全ての患者さんの治療に際して一様に適用する予防策です。
当院ではこのスタンダード・プリコーションを採用して院内感染の予防に努めています。
すごくすごく簡単に言うと要は処置をした後の器具や診療ユニット等を滅菌、消毒せずに再利用はあり得ないということです。
歯を削るドリルをつける器具をハンドピースと言いますが、
これは随分前から問題になっていることですが、とある調査によると、患者さん毎にハンドピースを交換している歯科医院は全体の3割ほどしかないという結果があります。
この結果で勿論皆さんが気にされるのは、7割も使い回しをしているところがあるのか?
ということだと思いますが、あえて今回は残りの3割に注目します。
『果たしてこの3割の滅菌は本当に滅菌されているのか?』
ということです。この説明のために少し滅菌器についてご説明しなければいけません。
幡ヶ谷駅前歯科にはDAC professional とDAC universalという2種類の滅菌器が導入されており、それぞれ役割の異なる滅菌器です。
DAC profesionalはいわゆるオートクレーブと呼ばれる高圧蒸気滅菌器です。
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/hygiene-systems/dac-professional.html
小型高圧蒸気滅菌器のヨーロッパ最高基準であるEN13060のクラスB規格をクリアしていて、高温に耐えられる器具に個別に包装して滅菌するときに用いられます。金属系の器具がイメージしやすいでしょうか?先ほどのハンドピースは勿論、プラスチックの器具や、当院ですと無影灯やマイクロスコープのハンドルなどはこの滅菌機に耐えられる設計になっています。
DAC universalは最大6本のハンドピースを同時に滅菌でき、洗浄および滅菌に化学物質を使用せず、ハンドピース『内外部』の洗浄・注油、滅菌を1サイクルで行えます。
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/hygiene-systems/dac-universal.html
滅菌と同時にメンテナンスまで出来てしまう大変便利なツールで、非常に短時間で滅菌が終わる為、患者さん毎に滅菌をかけることが可能です。
重要なのはこの『内外部』というところですね。
歯を削るときに用いるハンドピースは大変高速で内部の構造が回転しており、回転の停止時には外部の水分等を吸い込んでしまうサックバックと呼ばれる現象が起きます。
残念ながらハンドピースを滅菌するためにオートクレーブに入れても、内部に吸い込まれた物質はキレイになりません。
以下に検証動画を貼り付けておきますのでぜひご覧になってみてください。
一目瞭然の差ですよね。
ハンドピースの滅菌は、専用の滅菌器がなければ内部まで清潔に保つことは出来ないと言うことが分かります。
先ほどの調査でハンドピースの滅菌を患者さん毎に行っていると答えた場合でも、
ハンドピース用の滅菌器を導入していなければ内部の洗浄は出来ていないと言うことになります。
幡ヶ谷駅前歯科では器具をオートクレーブにかけることは勿論、
ハンドピースも患者さん毎にこのDAC universalにかけて滅菌をおこなっております。
ではDAC professional(オートクレーブ)で滅菌するものはどうなっているかと言うと、
ハンドピース以外の器具の滅菌は、高温化に耐えられる器具の場合は基本的にこちらを使います。
どのような処置であっても必ず用意が必要な器具を『基本セット』と呼びますが、
基本セットの中に何を入れるかは多少医院によって異なりますが、概ね世界中どこの歯科医院でも殆ど同じ内容のセットです。
幡ヶ谷駅前歯科では基本セットは全て滅菌パックと呼ばれる包装に入れ、個別に滅菌にかけています。滅菌パックには滅菌をかけたか否かで色が変わる部分があり、未滅菌のままであれば一眼でわかるようになっています。
また、その他歯石取りの際に使う器具についても同様に、いつも同じように滅菌パックで個装にして滅菌をかけるようにしており、パックの中身を使わなかったとしても、開封したらまた新たにパックして滅菌をおこなっています。
滅菌器はクリニックが開いている間はほぼ何かしら絶え間なく動いている状態ですので、
メンテナンスサイクルも非常に短く、注意が必要です。
それこそ壊れてしまったら診療が全く出来なくなってしまうので、本当の意味で縁の下の力持ちですね。
正しく滅菌・消毒を行うことや清潔域・不潔域を明確にしていくことは、患者さんの安全を守ることは勿論、デンタルスタッフの安全を守ることにもつながり、またこれらは交互に密接にリンクしています。
これからも安心安全な院内環境が確保できるように、大事にしなければいけない部分ですね。
幡ヶ谷駅前歯科では器具の滅菌はもちろん、感染症対策を考えた院内環境づくりにも力を入れています、
こちらにつきましては下記のリンクでご説明させて頂いていますのでぜひご覧頂ければと思います。