とてもとても遅くなってしまいましたが先日のトピックの続きとなります。
根管治療の際に昔から使われているX線写真と手用ファイルのはもちろん現在も現役ですが、近年では三種の神器とも言える装備がありまして、それぞれ「CT(3D X線)」 「マイクロスコープ」 「Nickel Titanium File」となりますが、当然これらを導入した幡ヶ谷駅前歯科では、私が勤務医時代にやっていた根管治療とはスピード感も確度も明確に上がっていることを実感できております。
今日はこの中でも、「Nickel Titanium File」に焦点を当ててお話しをしたいと思いますが、非常にマニアックになりがちなトピックになりますので、ご容赦ください。
下の写真の右側に示しておりますのが以前から使われているハンドファイルと呼ばれるもので、2%のテーパーのついた非常に標準的に用いられる根管治療用器具です。
写真左側にあるのが、ニッケルチタンファイル(NI-Ti file)と呼ばれる根管治療用の器具で、
7%のテーパーがついています。
全くそうは見えないかもしれませんが、これら日本の器具の先端の径は国際規格で定められており、全く一緒なのです。つまり先端部分の大きさを変えることなく、より多くの感染した歯質を削り取ることができるのがこのNi-Ti file です。
Ni-Ti file は実はかなり前から存在していましたが、幡ヶ谷駅前歯科で採用しているシステムである、Wave one gold systemと、それを装着するX-smart では、他のNi-Ti file と比べ大きなアドバンテージである、reciprocating motionを採用しています、これは、Ni-Ti fileを回転させ根管内にアプローチする際に、ただ正回転だけさせるのではなく、逆側にも少しずつ回転させることを繰り返しながら切削して行くモーションを指しています、なかなかイメージがしづらいと思いますので、メーカーサイトの動画をご覧ください。ついでに英語ですが商品のカタログURLもリンクしておきます。
http://www.dentsply.com.au/secure/downloadfile.asp?fileid=1604995
wave one gold reciprocating motionの大きなアドバンテージとして
・金属疲労の低減
・感染した歯質を奥深くに押し込まない
・洗浄液を攪拌しながら進むため、消毒効果を増大させる
が挙げられます。従来から存在したNi-Ti fileにどうしてもあった、使用中の破断は
Ni-Ti fileの大きな課題でしたが、このreciprocating motionの採用により、wave one goldの破断抵抗は従来の製品に比べ130%向上しています。
根管治療は非常に細かい作業で、また相手が硬組織でもあり、複雑に入り組んだ根管形状の場合もあるため、手用の器具だけで理想的な太さまで削って行くには、大変な時間がかかっていましたが、wave one gold systemの登場により、切削効率はおよそ40%も向上しました。まさにGame Changerです。
今後このシステムはさらに進歩を遂げるでしょうし、全く新しい発想も出てくるかもしれません、個人的に非常に楽しみにしていますので、アップデートがあり次第またお伝えしたいと思います。